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結婚の約束は有効ですか!?~初恋御曹司の執拗な溺愛攻撃~

  • 作家田崎くるみ
  • イラスト春楡いちる
  • 販売日2019/11/26
  • 販売価格600円

「大人になったら絶対迎えにくるから待ってて。……結婚しよう」十五歳の春。大好きな人、透はそう言って去っていった。きっと彼は約束通り迎えにきてくれる、明奈はずっと信じていた。あれから十年──社会人になっても約束は果たされず、同期に気になる人も出来た。新しい一歩を踏み出そうと思い始めていたそんなとき。会社で透と思いがけない、いきなりの再会! 学生時代とは違い独占欲全開でちょっと強引になった透と、気になる同期の存在。突然の再会で自分の気持ちが分からなくなる明奈。昔のふたりのままじゃない。大人になりお互い変わってしまったところもあるはず。ちゃんと自分と向き合うことにした明奈は──

『約束の有効期限』
 私には幼い頃に交わした、今でも忘れることのできない約束がある。
「大人になったら絶対迎えにくるから待ってて。……結婚しよう」
 そう言って大好きな人は、私のもとから去っていった。
 きっと彼は、約束通り私を迎えにきてくれる。──そう信じて、もう十年の月日が流れようとしていた。
 季節は秋から冬に変わる頃。金曜日の夜に気心の知れた同期たちと集まっていた。
「それでは、久々の同期会に乾杯ー!」
「かんぱーい!」
 幹事の乾杯の音頭を皮切りに、貸し切りの店内は大盛り上がり。みんな自由に飲んで食べて騒いでいる。
 そんな中、この会に出席するため、昼休み返上で仕事をしていた私、今泉(いまいずみ)明奈(あきな)は黙々と美味しい料理を口に運んでいた。
 朝も寝坊しちゃって、コンビニおにぎりを一個しか食べていないから本当にお腹が空いた。
 一口食べたら止まらなくなり、パクパクと口に運んでいると喉に詰まりそうになり、慌ててウーロン茶で流し込む。
「ふぅ。危なかった」
 一息ついたところで、久しぶりに見る同期の面々を眺めた。
 大学を卒業後、世界的にも有名な外資系ホテルグループ会社に入社。日本本社で広報の仕事を始めて三年になる。
 今日集まっているのは、同じく本社に配属された同期二十五名。入社一年目は、親睦を深めるために毎月開催されていた同期会も、今では半年に一度になってしまった。
 それだけみんな大きな仕事を任されるようになり、忙しくなった証拠。
 私も今では、利用したことのないお客様にも私たちのホテルの魅力を知ってもらうため、様々なイベントに関わること、広告の企画、立案と幅広い仕事を任せられるようになった。
 やり甲斐のある仕事に就けて、毎日充実していると思う。──なんてしみじみ感じながら再び箸を進めていると、空いていた隣に誰かが腰を下ろした。
 唐揚げを頬張りながら見ると、同じ広報部に配属された寺門(てらかど)渚(なぎさ)だった。
「おい、今泉~! せっかくみんなで久々に会っているのに、なにひとりで黙々と食ってんだよ」
「仕方ないでしょ? お昼食べられなかったんだから。まずお腹を満たさないと」
「それはお前の要領が悪いせいだろ?」
「うるさい」
 からかい口調で言う寺門をジロリと睨んだ。
 寺門は明るくてひょうきんなやつだ。同期の中ではもちろん、広報部でもムードメーカー。最初の自己紹介で『特技は誰とでも仲良くなれることです』と言っていた通り、すぐに先輩たちと打ち解けた。
 そんな彼は、同じ広報部に配属された、たったひとりの同期の私のことをなにかと気にかけてくれている。
 先輩たちと早く仲良くなれたのも、楽しく仕事を覚えることができたのも、全部寺門のおかげ。
 彼にはとても感謝している。……今ではすっかり仲良くなり、言い合いするような仲になっているから、素直に「ありがとう」とは、なかなか言えそうにないけど。

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