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あざとい男は嫌いですか?~バリキャリ女史は甘く溺れる~

  • 作家橘柚葉
  • イラスト西いちこ
  • 販売日2019/7/16
  • 販売価格500円

バリキャリでアラサーの千早は、一年前に「友達に戻ろう」と告げられ別れた元恋人に未練タラタラ。良き友人関係を保ちつつ、隙あらば再び彼女の座に! と密かに願っていた。29歳の誕生日、元恋人の弟・朋が大荷物とともに千早の自宅に突然訪ねてくる。「俺を当分ここに置いてくれない?」──やむを得ない事情に仕方なく期限付きで住まわせることに。無邪気な可愛い弟分と同居するだけ、千早はそう思っていた。一緒に暮らすうち朋の存在に癒しを感じはじめていたのだが、元恋人の結婚話を知った千早は激しく取り乱す。しかし直後に朋から熱い想いをぶつけられて……!? 本気を出した独占欲の強い朋に千早はあざとく迫られる──


 甘さが欲しいと思っていた。
 そう、蕩けるような甘いものが欲しい。
 舌で蕩ける砂糖菓子でもなく、絶対的な安心感だとか、温かくてひだまりみたいなぬくもりだとか。
 枯れてしまっている日常生活に、ご褒美みたいな甘いものが欲しい。
 そんな甘美を味わったのは、いつのことだっただろうか。思い出せないぐらい前だ。
 いや……思い出せないんじゃない。思い出したくない、の間違いだった。
 私、上田(うえだ)千早(ちはや)は、ゴロンとソファーに寝転んだ。
 都内の大学を卒業後、食器雑貨を製造販売している会社に就職。営業部に配属された私は、バリバリ仕事をこなしている。
 それこそ恋愛は二の次状態で、仕事に生きている女だ。
 見るだけで“キャリアウーマン”だと思われたいと願う私は、パンツスーツを好む。
 ショートカットの黒髪は、デキる女を目指してシャープなフォルムにしてある。
 足で稼ぐ仕事でもあるので、動きやすさは最重要ポイントでもあるのだ。
 百六十センチの身長にハイヒールを履き、ビジネス鞄を抱えれば上田千早の出来上がりだ。
 毎日かなり歩くので、ダイエットをしなくてもある程度の体型は保てている。
 仕事ばかりの毎日だが、私はなんの不服もない。それどころか仕事が楽しくて仕方がないのだ。
 だが、そのツケは何かしらの形で出てくる。そのツケを今日という記念日にいたく痛感していた。
 今日は日曜日。久しぶりに何も予定がない休日である。
 それならショッピングにでも出かけようかなぁと思っていたのに、なぜだか億劫になってしまった。
 今日で二十九歳になった。二十代最後の歳を迎え、気分は下降気味である。
 何度も言うが、今日は誕生日だ。私の二十九歳の誕生日。
 だが、寂しいかな独り身の私は、ただテレビを付けてゴロゴロと部屋で寝そべっているだけ。悲しすぎるバースデーだ。
 一年前の今日。私は彼氏に振られた。その出来事は、私の心を雁字搦めにするほどショックな出来事だった。
 私の元彼であり、今は友人関係になったのは高舘(たかだて)史孝(ふみたか)だ。
 彼とは仕事の関係で出会い、意気投合。付き合うまでに時間はかからなかった。
 私たちは、うまくやっていたと思う。お互い仕事は忙しくて、なかなか会う時間を作ることができなかったけれど、それでもうまくいっていると思っていた。
 昨年の私の誕生日までは────
『千早。俺たち、友達に戻らないか』
 青天の霹靂だった。寝耳に水とも言うだろうか。他にこんな場面にピッタリな言葉は……なんだったっけ?
 そんな現実逃避をしてしまうほどの衝撃を与えられた私は、『嫌だ!』と反論しようとした。
 だが、史孝は切なそうに小さく笑って言ったのだ。
『千早と俺は、どこか同志みたいなところがあるって思ってね』
『同志……』
『そう。なんでも話せる異性の同志。なぁ、千早。友達に戻ってくれないか。俺は、お前のことを友達としか思えなくなった。千早のことを好きだと思っていたのは、友達としてだったのかもしれない』
『誰か好きな人でも出来たの?』
『いや、そんな人はいない。だけど、千早とは恋人としてではなくて友人として今後も付き合っていきたいんだ』

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