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突然の再会は幸せの合図~すれ違い初恋が実るとき~

  • 作家有涼汐
  • イラスト上原た壱
  • 販売日2019/9/24
  • 販売価格400円

ヘッドハンティングされて転職してきたのは、初めてつき合った元カレでした──当たり前のように隣にいて、これから先も一緒に彼と時間を過ごすと信じていた高校時代。しかし受験をきっかけにすれ違い離れてしまったまま大人に。漆原喜宇は28歳になった今でも、元恋人・筒香眞への想いを大事にしていた。ある日、噂されていた若手でやり手の人物が喜宇と同じ部署に配属されるのだが、姿を現したのは眞だった。突然で偶然の再会。学生のころよりも男らしさが増した眞を目の前にして、喜宇の気持ちはすぐに昔と同じ想いに満たされる。離れていた時間も距離も関係なく自然とふたりは惹かれあうのだが、彼の左手の薬指には指輪が……!?

第一章
 夏の終わりがやってくる季節だが、九月にはいったいまも暑さが残る。
 軽く汗を流しながら電車に乗り込む。運がよく座席に空きがあり、一番端に座った。
 自宅の最寄り駅から会社までは電車で三十分。
 ガタンゴトンと揺れる中、漆原(うるしばら)喜宇(きう)はうつらうつらとしていた。
 昨夜は数日後にあるプレゼンのことを考えていたせいか、なかなか寝つけなかったので睡眠不足だ。
 喜宇ももう、二十八歳。睡眠不足は肌への大敵である。わかっていながらも、規則正しい生活がなかなかできないものだ。
 眠らないようにと思いながらも、どんどん意識が下降していく。
 霧がかった目の前に見えたのは、高校生のころの自分と大好きだった恋人。
 高校生の自分と今の自分が同化していった。
 筒香(つつごう)眞(まこと)は喜宇にとって初めての彼氏だ。
 高校二年生の頃に告白をされ、いろいろありつき合うようになった。
 眞は喜宇とは正反対の位置にいるような人だった。
 喜宇は勉強はできたが、社交性が乏しく友人も少ない。そのため教室の隅のほうで、目立たないグループだった。
 眞は、勉強も運動もでき教室では常に中心で、男女ともに囲まれて楽しそうに過ごすようなタイプだ。なので、告白された時も最初は罰ゲームなのかと疑うほどだった。
 今まで会話もそこそこ、二人きりになったことはほとんどないような人だ。そんな人に突然告白されて、信じられるほど喜宇も純粋ではない。
 なので断った。
 けれど、それ以降なぜか友達としてつきまとわれるようになり最終的にはつき合う結果に陥ってしまった。
 眞は調子のいいことは言っても、嘘をつくタイプではない。ましてや、人の好意を踏みにじるようなことはしない。だから、信用した。
 喜宇が慣れていないことを知って、嬉しそうに「俺が全部教える」と言っていた。だから、彼女にとって初めてはすべて彼だ。
 それから高校三年生になり、受験モードになる時期。
 彼はすでに推薦で大学を決めており、受験とは関係のない生活を送るようになっていた。
 喜宇のほうといえば、まだまだ勉強が必要で試験だってこれからだった。
「受験が憎い……」
「憎くても逃げられないからな。ほら、一緒に勉強につき合うから」
「うん……」
 眞の優しさに、喜宇は嬉しくもあったが申しわけなかった。
 彼は大学に受かっている身。試験があるわけでもないのに、喜宇の試験対策につき合わせるのはしのびなかった。
 それを伝えれば、彼は「気にするな」と笑うだけだった。
 けれど、時間が経つにつれ一緒に勉強する頻度は低くなっていく。そもそも、推薦組と一般組とでは授業も変わってくるので、一緒にいる時間も減っていく。
 ときおり見かける彼は、いつも誰かと一緒にいて楽しそうに笑っていた。
 余裕のない喜宇にとって、それがとてもモヤモヤとした。

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