夢中文庫

オフィスの堕天使は真夜中に誘惑する

  • 作家吉桜美貴
  • イラストモリフジ
  • 販売日2019/5/31
  • 販売価格700円

「誰でもいいなら、僕にしておかないか? 僕を選んで欲しい」ニートだった今川麗花はこのたびアロハ・ドルフィンコーヒーに縁故採用された。CEOは目がくらむような美貌の黒河内宗近!特別秘書となった麗花はある日、携帯の待ち受けにした人生目標『処女を脱するべし』を宗近に見られてしまい、ひょんなことから宗近に処女を捧げることに。色っぽく誘惑してくる宗近は、仕事中の冷淡な彼とは別人だった!一夜限りのつもりが、熱を孕んだ眼差しと技巧的な愛撫で甘くとろかされ、力強い楔で繰り返し貫かれてしまう。それから、オフィスで自宅で何度も激しく求められて……!?「ずっと君のことばかり考えていたから……もう、我慢できないんだ」

「まったく無い……? まったく無いなんてことは無いだろ。生きている限りそんなの不可能だろ?」
 黒河内(くろこうち)宗近(むねちか)は冷ややかに言い、凛々しい眉をひそめた。灰色の瞳は冷淡に光り、軽蔑以外の感情を映していない。
 それを見た今川(いまがわ)麗花(れいか)はソファで身を強張らせた。さっきから宗近が怖い上にソファが座りづらい。このソファ、デザインが奇抜すぎるし、ふかふかのクッションが陣取っているせいでどう座ったらいいかわからない。クッションをお尻で潰せばいいのか、それとも背中に挟めばいいのか……。
 結局、足を踏ん張って先端に浅く腰掛け、声を張った。
「ですから、私はずっとニートをやってたんです。そんな人様に言える特技なんてありません」
「いや、絶対なにかしらあるはずだ。まったく無いなんて有り得ない」
「それが本当に無いんです。なんにも」
 繰り返し言い、ずり落ちてきた長い袖をまくる。
 このジャケットはサイズが大きく、ひと昔前のデザインだ。色もくすんだベージュでダサいし、見るからに安っぽい。しかし、長らくニートをしていた麗花にとってスーツと呼べる代物はこれしかない。ヘアサロンに行く余裕もないせいで髪は背中まで伸び、眼鏡の度が合わなくてよく見えない。靴は就活用に激安流通ショップで買ったが、九百八十円でさえ今の麗花にとっては痛い出費だ。
 宗近は履歴書を片手に行ったり来たりしている。すらりとした長身の宗近は上品なダークスーツがよく似合い、顔は小さく腰の位置が高かった。
 すごい、脚が……。脚がめちゃくちゃ長くないですか……?
 つい横目で観察してしまう。そんな視線にまったく気づかず、宗近は履歴書を人差し指でビシッと弾く。
「今、二十四歳だよな?」
「はい」
「ニートをやってたって、パソコンぐらい触ってたんだろ?」
「はあ、まあ」
「パソコンでなにをやってた?」
「なにをって、ええと……。動画見たり、ネットサーフィンしたり、あとはソシャゲとかメールとか……」
「じゃ、メールソフトは使えるわけだな?」
 宗近は間髪入れず食いついた。
「あっ、はい。送受信するぐらいなら」
「結構。それも立派な特技だ」
 宗近は疲れたように眉間を指で押さえる。
「その調子でいこう。どんなにレベルが低くてもいいから君ができることを……どんな些細なことでもいい……リスト化するんだ。それで君の役割を決めよう」
「ですけど、コーヒーチェーンのことなんてなに一つわかりませんし……」
「わからなくても大丈夫だ。いいか、君にはなにも期待していない。パソコンスキルも資格もコミュニケーション能力も、一切期待しないから安心してくれ」
 麗花の眉尻がぴくぴく痙攣した。ストレスだろうか。この人、悪気無いんだろうけど、さっきから思いっきりメンタル抉ってくるんだよね……。
 ここは東京の六本木(ろっぽんぎ)にあるアロハ・ドルフィンコーヒー・ジャパン社のオフィス。
 アロハ・ドルフィンコーヒーは十五年前にハワイのホノルルで開業され、テイクアウトできる店頭販売が全米で大人気となり、現在は世界各国にコーヒーチェーンを展開している。日本でのアロハ・ドルフィンコーヒー独占契約権を獲得し、日本法人のCEOを務めるのが黒河内宗近だ。
 ちょうど職を探していた麗花は、母親の知人の紹介でアロハ・ドルフィンコーヒー・ジャパンの正社員として縁故採用されることになった。
 今日は初めての面談の日。配属先や仕事内容を決めるため、宗近と打ち合わせ中だ。「どこまでも正直に答えろ」という宗近の要望どおり、自分の無能さを馬鹿正直に申告している。

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