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聖なる魔女と悪魔の騎士1

  • 作家悠月彩香
  • イラスト石田惠美
  • 販売日2020/08/07
  • 販売価格1000円

【通常版】1000円 /【イラスト特典付き】1100円

「おまえが欲しい、『魔女の目』よ」――見習い修道女のユーフェリナは、魔に魅入られた人の瞳にひそむ〝黒い炎〟を視る力を持つ。ある日、その力に目をつけた『魔剣士』ウィルガイストに悪魔の所有印をつけられ、神殿のお尋ね者になってしまった! しかもユーフェリナの力は悪魔たちにとって極上のエサらしく、ウィルガイストのせいで神殿と悪魔から一気に命を狙われる身になってしまい、やむを得ず魔剣士と契約を結ぶことになるが……!? 「あんな淫魔、あたしが絶対滅ぼしてやる――ッ!」不良修道女×エロ悪魔のダークラブファンタジー!第1巻! ※本作品は、過去に出版されていた同タイトルの作品を加筆・修正したものです。

第1章 イヴァスラード大神殿
「ユーフェリナ・イェル!」
 鋭い叱咤(しった)の声に、ユーフェリナは肩をすくめた。
 雨上がりの見事な青空の朝、この数日間にわたってアクロシア市中を蹂躙(じゅうりん)した嵐がようやく去り、人々はほっと安堵のため息をついたものだ。
 だが、白亜の太陽(イヴァスラード)大神殿に残されたものは、澄んだ空気と、建物を黒く塗り潰した大量の泥濘。
 朝の礼拝から朝食までの短い空き時間、見習いの修道女たちに宛てがわれた仕事が、大神殿の正面玄関から礼拝堂周辺の清掃作業だ。
 それを聞いてうんざりし、こそこそと逃げ出そうとしたところをみつかり、助祭に叱責を受ける少女がユーフェリナである。
 太陽の光にきらめく、淡い金色の髪が特徴の、かわいらしい顔立ちをした娘だ。翡翠の色をした瞳はぱっちりと大きく、睫(まつげ)は影が頬に落ちるほどに長い。
 地味な修道服を着ていてさえも、どこかまぶしく光を放っているように見えた。おまけに小柄で細腕で、知らない者が彼女を見かけたら、少女の中に大いに保護欲を刺激されたことだろう。
 しかし、そんな恵まれた容姿を裏切るような、不満顔。その仏頂面は、もはや彼女の最大の特徴といってもいいほどだ。それに加えて、態度物腰はいたって横柄で、協調性は欠片も窺えない。毎日の礼拝ですら、隙あらば逃げ出そうと狙っているのだ。
 それゆえ、幼い頃からこの神殿で過ごし、先日、十八歳になったというのに、未だに見習いの身分である。
「本当にあなたときたら、いったい何年この神殿にいるのです。本来なら率先して後輩の指導にあたるべき立場でしょう!」
 口うるさい助祭の説教など、ユーフェリナの耳には、右から左である。彼女は聞くそぶりも見せずに、そっぽを向いたままあくびを噛み殺す。
「ユーフェリナ!」
 年かさの助祭の叫び声に、他の見習いたちが驚き、中には怯える娘もいた。彼女たちのほとんどが品行方正で育ちのいいお嬢さまばかりだ。
 ここアクロシアの太陽(イヴァスラード)大神殿は、行儀見習いや、イヴァスラード神への信仰を深める等の名目で、貴族や裕福な商家の娘が寄宿学校のように上がることが多い。
 本来、ユーフェリナのような集団生活に不適合な娘が見習いに上げられたところで、すぐさま親許に帰されるなり処断されるはずだが、彼女はそうはならなかった。
 彼女には、帰るべき親許がない。
 生まれたばかりのユーフェリナが棄てられていたのが、イヴァスラード大神殿の礼拝堂の前だったのだ。
 ときどき、神殿に子を棄てていく親がいる。もちろん数は多くはないが、皆無というわけでもない。そんな子供たちは大神殿で養育されるのだ。
 十歳にもなれば見習いになり、十五、六になる頃には、正式に修道士や修道女になる。あるいは神殿を出て独立することも。
 イヴァスラード神殿では、女性も司祭や司教になることが可能だ。神殿に居残った者の中には、本格的に修行をして叙聖(じょせい)を受け、司祭になる者もいる。

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