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聖なる魔女と悪魔の騎士2

  • 作家悠月彩香
  • イラスト石田惠美
  • 販売日2020/08/21
  • 販売価格1000円

【通常版】1000円 /【イラスト特典付き】1100円

魔に魅入られた人の瞳にひそむ黒い炎を視る力『魔女の目』を持つ、元見習い修道女のユーフェリナ。お尋ね者という汚名を返上した彼女は、娼館の店主に転身! 店を切り盛りしながら、ウィルガイストとの契約を解除する策を練るユーフェリナに、ある日〝淫らな不調〟が現れはじめた……!? 原因は魔力の乱れらしいが、事が事だけにエロ悪魔も誰も頼れない! ユーフェリナは力を制御する方法を求め、今は滅びた『魔女の村』にひとり向かうが、そこに現れたのは彼女に好意を寄せる用心棒シグアス。向かった廃村で、彼らを待ち受けていたのは……? 不良修道女×エロ悪魔のダークラブファンタジー!第2巻! 話題のWEB小説を電子書籍化!

第1章 妓館の用心棒
「おい起きろ、ユーフェ! おまえ、なんのつもりだあ!」
「……なによ、こんな朝早く……」
 あたたかな天国の中から、いきなり冷たい空気にさらされたユーフェリナは、抜けるように白い肌にかかる、長く淡い蜂蜜色の髪をかきあげる。そして、安眠妨害者に寝ぼけ眼を迷惑そうに向けた。
 さらさらと耳にかけた髪が流れ落ち、髪にすりこまれた甘い匂いがふんわりと漂う。
 寝起き直後の正体がはっきりしない表情も、並みの男であれば生唾ものだったが、生憎とこちらは財布に火がついた悪魔である。
「この俺から金を巻き上げるとは、いい根性してるじゃねえか、小娘」
「なんのこと?」
「とぼけんじゃねえよ。十五ヴェロスとはよくよく吹っかけてくれるじゃねえか」
「……いい根性をしているのはあなたのほうですよ、ウィルガイスト。あなただからと思って見逃したが」
 寝ぼけ眼の乙女の寝込みを、今まさに襲おうとしているようにしか見えないウィルガイストの肩に、鞘(さや)に入ったままの剣が置かれた。
 振り向くと、夏空色の瞳をした青年が冷たくウィルガイストをにらみつけている。
「シグアス、おまえ誰に剣を向けてるか、わかってんのか?」
 この妓館の用心棒として雇われている青年は、ウィルガイストの昏(くら)く鋭い眼光にも動じず、鞘に入ったままの剣を引く気はないようだ。
「もちろん承知してますが、俺のあるじはユーフェリナで、それをお守りするのが俺の役目だ。いくらあなたとはいえ、ユーフェリナに危害を加えるつもりなら……」
 ふたりの青年の視線が危険な色に絡みあった瞬間、ユーフェリナはようやく目を覚まして彼らの間に割って入った。
「まあまあまあ、ふたりとも。で、ウィルガイスト、こんな早朝になんのご用?」
「なんのご用じゃねえよ、小娘。なんだこの野郎は、なんで貴様がここにいる」
 ウィルガイストはあからさまな不快感を顔に貼りつけると、胡乱そうにじろじろと用心棒をねめつけた。
「俺はユーフェリナの護衛です。あなたのような、危険な輩からのね」
「はっ、そいつぁ初耳だ。おまえはこの妓館の用心棒であって、ユーフェ個人の護衛じゃあないはずだろ」
「今日は店のほうは非番ですから。俺が好きでやってることです」
 シグアスはフェゼルが雇った護衛だが、ひたすら無口でほとんど存在感がなかった男だ。それが今ではすっかりユーフェリナに私淑して、非番の夜でもこうして彼女の身辺警護をしている。
「護衛、ね」
 朝っぱらからの不穏な空気に、さすがに危機感を覚えたユーフェリナだ。ウィルガイストの視界からシグアスの存在を隠すようふたりの間に身を置くと、話題を変えた。
「で、こんな早くからどうしたの」
「どうしたもこうしたも──おお、俺から金を取るとは、どういう料簡だ」
「ああ、そのこと。だって毎晩毎晩、あんたに無料奉仕してたら、この店の経営が立ち行かなくなっちゃうのよ。ときどきなら目を瞑ろうかと思ったけど、ちょっとやりすぎ──」

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